山間部へ電波が来たら林業が変わる?

山間部への電波が林業に与える影響

山林内はスマホの電波がほぼ通じません。

オフラインでは、高性能なスマホでも撮影したり記録する程度です。

山頂や尾根に出て見通しがきくところでは電波が立ちます。

近い将来に到来するスマート林業には常時届く電波が欠かせません。

ポータブルwi-fiのようになるのか、宇宙開発が進み衛星からの電波になるのかわかりませんが、地球上の全エリアに電波の届く日が近づいています。

速度が多少遅くても山間部の隅々に電波が届くと、それだけで林業の方法が変わるでしょう。

林業の近い未来を想像してみました。

林業でオフラインとオンラインの差

林業は山奥なのでオンラインとオフラインの差がかなり大きい

林業従事者は当然、皆スマホを持っています。

SNSなど個人で利用する人がほとんどだと思います。

ところが山奥は電波がありません。

現場に向かって山林でオフラインになったら、スマホを触ることが少なくなります。

山林内で電波が立つと

電波が通じるようになると、作業中でもスマホを携帯することが増えるでしょう。

プライベートの連絡が入るようになり、おのずと利用する頻度が多くなります。

電話ができるのは緊急事態に大切な備えです。

作業員それぞれの位置情報もわかります。

誰がどれぐらい移動しているかも判明してしまいます。

オンラインとオフラインの差は大きいのです。

森林でスマホ解禁

速度は遅くても山林内で、もし3Gや4Gの電波が通じてインターネット接続が可能になったらどうなるのか?

想像してみました。

リアルタイム天気予報で急変に対応

リアルタイムの天気予報は現場で有効

ネットでは精度が高い天気予報が公開されてます。

雨雲レーダーを見ながら狭いエリアでも作業中止の判断をできます。

電波がつながるとリアルタイムの天気予報を入手できます。

数十分単位で作業変更が可能になり、天気の急変にも迅速に対応できます。

ゲリラ豪雨や大荒れの天気急変が増えてきました。

スマホに天候急変時のアラートを設定しておくことができます。

安全対策や以後の予定を立てるにもいちいち下山しなくてもよくなります。

現場で判断可能になるのは画期的です。

販売先で観ながら採材できる

お客様のオフィスで木を見ながら切る寸法を決めることもできる

素材丸太をカットする採材では需要先の意向を聞かなければなりません。

需要先の製材工場においても販売先の急な注文変更があります。

そんな時に電波があれば即座に山中の採材現場へ伝えることができます。

動画通話すれば需要先の人と素材丸太の品質を見ながら、カットサイズを決めることもできます。

長い丸太をもう少し欲しいです!

製材工場関係者は素材丸太の生産現場に行ったことがない方も多くいます。

リアルな造材現場状況を、販売先である製材工場の担当者等に見せることができます。

刻々と変化する丸太の納品時期によって、工員勤務シフトを即変更することができるのです。

監視カメラとして

オンラインの監視カメラがあれば生産性が上がる

不法投棄や山火事防止、盗伐などの犯罪が起きると犯人を特定することが難しいです。

山林内は目撃者がいないので検挙に至らない事件が多くあります。

防犯対策といえば林道の施錠ぐらいです。

オンラインで監視カメラを視認操作できれば、山林の不法侵入者をリアルタイムで発見したり記録することができるでしょう。

各重機に装備できて危険防止や安全会議にもカメラが利用できます。

カメラの数だけ現場情報は豊富になります。

マ、マズい…。

作業の進捗状況や手順変更の判断も迅速にできるようになります。

大幅に生産性が上がると思います。

ドローン操作は遠隔でも

ドローン操作は海外からということもあり得る?

山林の調査測量のためにドローンを使うのが当たり前になってきました。

わずかですが苗木運搬にも産業ドローンが活躍し始めてます。

資格を持つドローンオペレーターが手動で操作します。

しかし、オンラインになれば遠隔操作もはじまるでしょう。

現場にいないけど苗木運んでます。

電波速度や届く範囲がカギですが、山奥まで電波が届くとオペレーターの姿が消えます。

電波を使ってどこか遠いところからドローン操作されるようになるのです。

東京都内からだったり外国からドローンを操作されることになるかもしれません。

修理工場とつながる

重機のトラブルは頻繁

林業では重機機械トラブルがつきものです。

ホントに頻繁に壊れます…。

修理のために現場から重機を工場に運搬して修理して戻すには大きなロスです。

電波があると画像映像で故障箇所を調査特定したり、修理工場に相談して応急処置が可能です。

壊れたり不足している部品をその場で発注可能で、翌日に部品が届いたりするかもしれません。

ココがこんな風に破損してるんですけど…

部品納期がわかれば重機の使えない期間がわかります。

変更する作業工程で判断がつきます。

刈り払い機などの道具類ならその場で修理方法を調べることができます。

この事だけでも生産性が上がります。

オンライン林業でコレが無くなる?

山の現場を歩いてから事務作業するのはツライ

林業現場が電波でつながると、無くなる仕事もあります。

危険な作業が多い林業では現場に集中し、できるだけ「やらなくていい仕事」を廃止しなければなりません。

なくなる?「帰ってから連絡します。」

現場管理者に取引先から会社に電話がかかってきます。

山林内で電話が通じないことは常識なので、会社固定電話か携帯電話の留守電にメッセージを入れてくれます。

最大で丸一日のタイムラグが発生します。

電波がつながるようになると、もしかすると一気にSNSやメールになるかもしれません。

いまだに電話連絡が多いのは「山林内に電波がつながらないから…」なのかもしれません。

肉体労働後の事務はつらい…

現場管理者は多くの書類を作成しなければなりません。

計画書、変更書、検定書類など事務作業が多く、それは年々増えてます。

現場では作業員と一緒になって歩くので、山林を見て歩くだけでもかなりの体力を使います。

その上、帰社してから書類作成するのは体力的にしんどくて集中力が沸いてきません。

昼は現場山歩き、夜は事務仕事。もうダメ…。

林内でクラウドが使用できれば画像整理ぐらいはできるでしょう。

帰ってからの書類作成がラクになります。

ネット環境があれば印刷はコンビニでも可能です。

現場から帰社してする作業が減るかもしれません。

良いこと多い!「現場完結する」メリット

山林現場で即断即決が可能になり生産性が向上する

「現場で完結できる」のは、単に会社でやってた仕事がなくなるだけではありません。

現場でこそ、新しいアイデアが出てくることもあります。

報告に記載することが増えたりして課題が見えてきたりします。

帰社する必要がない分、今までより作業が先に進むでしょう。

次の現場を早く段取りすることで生産性が上がるとみられます。

「早く仕事を完結する」事には、いろいろとメリットがありそうです。

電波が来るだけでも林業革命

例えばすぐ隣の林班で別事業者が造材作業をしていたとします。

電波によりその情報があるだけでも効率が上がると考えられます。

情報共有でつながるメリットも

ネットで位置情報を共有していれば業者間のメリットも期待できる

ちょっとブルドーザーが必要な時に、わざわざ多額のコストをかけて運搬しなくても借りたりできる可能性がでてきます。

搬出トラックに積み込む際に丸太が半分荷物になる時に、シェアできるかもしれません。

素材丸太を現場で融通して売買したり、重機の貸し借りも可能になるかもしれません。

近くの撮影をお願いできるかもしれません。

林道は木材運搬で使うと破損や汚損したりします。

現場が終わり直した直後に別の事業者が共有林道を使って再び壊すことがあります。

情報共有していれば林道を治す工事が一度で済んだりするのです。

除雪も共有できるかもしれないですね。

情報共有は合理的でエコです。

長時間移動は林業者の悩み

長距離ドライブが林業者の仕事ではない
長距離運転が仕事?

画像と映像をネットで常時伝えられるのは画期的です。

最終決定権者に判断を仰ぐことが早くなります。

いちいち伐採現場に来てもらわなくてもいいのです。

危険が伴う状況を早く報告できます。

的確に即決断されることで危機管理能力が高くなります。

現場完成日時が早く伝わり、素材丸太の出荷時期をリアルタイムで伝えることができます。

現場を見るだけなのに長距離を長時間かけて運転し、疲れて帰ってくる行程が少なくなれば生産性が上がります。

往復運転7時間、現場30分…。

電波範囲に課題があるようですが

スマート林業は航空レーザ計測やロボットを想定している

ココで描いたすべては、山林に電波が通じた時の想像です。

5Gは障害物に弱くエリアが狭いなど電波範囲に課題があります。

話題のスマート林業は、現時点で航空レーザ計測やロボットを想定してるようです。

技術的にOKとなっても、ロボットの生産や普及までにはかなりの時間がかかりそうです。

それでも、その前段階として山林に電波が来るのは林業イノベーションと言っても良いでしょう。

経営者のデジタル意識がカギですが、かなり林業のやり方が変わりそうです。

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