苗木の植え付けのやり方は?植林作業で気をつけること

苗木の植え付けのやり方は?植林作業で気をつけること

脱炭素で森林づくりが注目されてます。

温室効果ガスのCO2吸収のために、木を植える事が求められてます。

日本では古くから全国各地で植林、植樹が行われています。

植林は苗木を植えることです。

林業では作業員が人力で、一日に数百本から数千本を植え付けします。

山林の傾斜地で苗木を運ぶのは重労働です。

地道な作業をコツコツと毎日続けなければなりません。

「植え付けで大切なことは何か?」を説明します。

植え付けの手順

植え付けする苗木の樹種や規格は指定
規格された苗木

南部など一部を除き北海道では、主にトドマツやエゾマツ、カラマツが植林されています。

植え付けする苗木の規格は、樹種や大きさ等により一号、二号など指定されています。

生き物なので丁寧に扱わないと、植え付けした後の活着率(生存率のこと)が悪化します。

扱いが悪いと植える前に枯れ始めます。

苗畑からの運搬から十分に気をつけなければなりません。

秋に植栽する豪雪地

苗木を植え付けする時期は、農作物同様に春が主流です。

そもそも北海道は雪が融けないと植栽ができません。

雪深い地域では、降雪前の秋に植え付けることもあります。

植栽直後の苗木は冬眠状態に入り雪が守ってくれて、融雪時の春は雪解け水を供給してくれます。

豪雪地では苗木の秋植えが主流の地域もあります。

仮植とは?

仮植とは一時的に苗木を植えておく作業で、一気に植え付けできないのでそれまで「仮に植える」ことです。
カラマツ仮植完了

植林するために山林の現場に運んできた苗木は、まず、仮植という作業をします。

仮植とは一時的に苗木を植えておくことです。

一日に何万本も一気に植え付けできません。

それまで苗木の状態を保つために仮に植えておくのです。

仮植とは、苗木の根が乾燥したり直射日光で弱ったりしないように一時的に養生することです。

マーキングした箇所に植穴を掘ります。

植え付ける間隔は、指定された面積や本数、間隔を確認してあらかじめマーキングしておきます。
植え付ける間隔も厳格

植え付け作業をする現場では、まず、作業員が必要な本数を苗木袋に入れて、植える場所に運びます。

植え付ける間隔は、指定された面積や本数、間隔を確認して、あらかじめマーキングしておきます。

植え付ける場所の落ち葉や小枝を取り除きます。

くわを使って10cmほどの苗木の根を曲げずに植えられる穴を掘ります。

植え穴に石や落ち葉は入れないようにします。

くわを使って10cmほどの苗木の根を曲げずに植えられる穴を掘ります。

苗木を埋め戻すときに気を付けること

苗を穴に入れた時に手に持って浮かした状態で埋めます。苗木を引っ張っても抜けないくらい固めます。
根が張りやすいように

苗木の根は広げてから植えます。

埋め戻すときは、山側の下層の土をほぐしてかけます。

苗木の根を垂直にするために、苗を穴に入れた時に手に持って浮かした状態で埋めます。

根と地を密着させるように埋め戻した土を踏み、苗木を引っ張っても抜けないくらい固めます。

樹種によって深く植えた方が良い苗木と、浅く植えるべき苗木があります。

体重をかけて意外に強く踏み固めないと苗木は育ちません。

南の方角を意識して葉に陽が当たりやすいように作業を進めます。

落ち葉は保湿効果があり土の乾燥を防いでくれるので、周囲にある落ち葉や小枝を植えた苗の周りに被せます。

落ち葉は保湿効果があり土の乾燥を防いでくれるので、周囲にある落ち葉や小枝を植えた苗の周りに被せます。
落ち葉や小枝を苗の周りに被せます

植えてから数年で評価される「活着率」

活着率は100%に近いのが望ましいですが、ときには50%から60%という散々な植林地もあります。
苗木の活着率が評価されます

苗木を植えてから一定の年数で、苗木の活着率が評価されます。

活着率とは植え付けた苗木が健全に生存していて、根付いた率のことを言います。

活着率は100%に近いのが望ましいですが、ときには50%から60%という散々な植林地もあります。

活着率は様々な要因で影響を受ける

なぜ、活着率の善し悪しがあるのでしょうか?

運が悪いときは、植えてすぐに土砂災害に見舞われたり、動物の食害に遭うケースもあります。

植え方が適切でないと活着率は悪化します。

苗木の状態が悪かったり、根が出ていたりすると枯れてしまいます。

それ以外の要因もあります。

  • 気象条件
  • 苗木の樹種
  • 苗木規格の選択
  • 土壌、施肥
  • 植栽密度

活着率には様々な原因が複合的に作用します。

コンテナ苗のメリットは?

これからはコンテナ苗という植栽方法が主流になると思われます。

これまでもポット苗という鉢状の苗木がありました。

根が絡まり合う根巻きにより育成不良が課題でした。

コンテナ苗はそれを改良して根巻きが生じません。

その結果、植栽初期の成長が優れていて活着率の向上が見込めます。

植穴が小さくできるのも利点で、植栽適期も広がるとされてます。

将来の機械植栽やロボット植栽もコンテナ苗になることが予想されます。

意外に緊張感がある植林現場

植え方が悪くて活着率を低下させるわけにはいきません。
緊張感がある植林現場

植林作業は森づくりの基本であり、未来の地球環境への投資でもあります。

私たちとしては、植え方が悪くて活着率を低下させるわけにはいきません。

のんびり作業ではない

苗木は生き物なので管理が悪いと生育に悪影響が出ます。

意外にも植林の現場は神経を使い緊張感があります。

山林でする植え付けは、どこかのどかで牧歌的なイメージがあります。

しかし、のんびり植栽している訳にいきません。

迅速に手際よく進めないと苗木はしっかり生長してくれないのです。

植え付け作業の機械化はもう少し先か…

近い将来に植え付け作業の自動化は十分にあり得る
植え付けの機械化はもう少し先か…

スマート林業で植え付け作業の機械化も開発が進んでいます。

しかし、植え付け地の形状が傾斜地であり複雑な動きが多いので、今のところ機械の普及はそれほど進んでいません。

コンテナ苗など新しい植え付け方法も開発されていて、近い将来に植え付け作業の自動化は十分にあり得ます。

現場は人手不足に悩まされています。

早く機械化がすすむように現場状況を公開し、求めることや問題を共有しなければなりません。

私たちも開発の助けとなるように協力していかなければと思います。

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