農村の田んぼや畑を見て、

いやー、自然はいいよねー!
とは、言いませんよね?
でも、山林を見ると「自然はキレイ」と皆さんが言います…。
実は山林によって完全に自然とは言えないのです。
畑と野山は見た目が同じようでも、似てるようで異なります。
山林も同じように見えても、天然林(人が介入していない)と人工林(人が植林)に分かれます。
林業では植林して木を育てて収穫収入を得るために人工林を運営しています。

今の伐採は、ほぼ人工林だけ
以前は「伐採」と聞くと環境破壊を連想する人が多かったです。
現在は手つかずの自然天然林を伐り開いて、人工林に変えていく伐採がほとんど行われていません。
現在の森林伐採のほとんどが人工林で実施されています。
人工林の木材か確認できるか?
これからの時代は脱炭素・自然保護にますます向かっていくでしょう。
天然林の破壊防止はとても大切です。
しかし、国内外問わず違法に伐採された木材が流通しているのも事実です。
南米アマゾンの自然破壊などは、古くから問題視されてきました。
天然林の違法伐採を防ぐために、木材の生産、搬出元を消費者が知るシステムが導入されています。
森林認証とは?

一般消費者が木材を見て、人工林から搬出された木なのか?そうでないのか?は判別できません。
FSC認証などの公的森林認証マークや、合法木材業者として登録された会社を確認して知るしかありません。
勝手に他者の山林を伐りだす「盗伐」や、管理されてる保護林や保安林など伐採許可がないのに伐る者もいるのです。
こうした者を排除するために、公的機関から審査され認証をうけた事業管理者が登録されてます。
森林全体面積の約4割は人工林

日本の総森林面積の約4割は人工林です。
一般的に手つかずの森と呼ばれるのは天然林のことです。
それは約6割です。
天然林のほとんどは行きつくことすら困難な山奥や高山も含まれてます。

一般の人が見ている森林のほとんどが人工林なのでは?と思います。
飛行機で山深い景色を見るとわかりますが、標高が高く、険しい山々は林道もなくて手付かずなのです。
江戸時代も人工林だった

神社仏閣、住宅が木造中心の日本では、江戸時代から木材需要が旺盛でした。
コンクリート造りがない訳で建物の全てが木造でした。
いつも木材が足りない状況でした。
人力馬力しかない時代ですが、かなり山奥まで丸太を求めて木こりが入り伐採していました。
浮世絵において、伐採が進んで山にあまり木がない風景が多く描かれてます。
当時は木造住宅建材がかなり必要でしたが、煮炊きする燃料も木炭が中心でした。
旺盛な木材需要に応えられていない世情が想像されます。
現在は外国産木材の影響が

戦後は足りない木材需要を補おうと、日本国内では国策として計画的に植林して人工林を増やしてきました。
しかし、その後、安価な輸入材により国産材の取引量が減ります。
植林された人工林は伐採されずに放置されてます。
過去に植林した多くの木が収穫の適時期に達しているのです。
その伐採が間に合っていないのが今の国内林業の現状です。
メンテナンスが必要な人工林

植えてから50年も経つと針葉樹の伐採時期を迎えつつあります。
人工林をすべて伐採して本格的にメンテナンスする時期となります。
現在、その時期に達している人工林が、日本の人工林総面積の約半分以上あります。
比較的、木材の寿命が短い針葉樹類は成木になると伐採しなければなりません。
放置していてもそれ以上の成長は見込まれず、CO2の吸収も期待できません。
強力になる自然災害に脆弱

やせ細った植林木は間伐されることなく放置され続け、土砂災害の原因の一つともなります。
間伐されないと林内が暗く光合成が十分にできないため、根を十分に張ることができません。
菌や虫害に遭いやすくなり、一帯が枯損する恐れもあります。
脆弱な老木は、厳しい自然環境に耐えることができなくなります。
地震や台風などの自然災害が強力になる近年は、山林の土砂災害などが懸念され一刻も早くその対策が必要と言われてます。
森林環境税が決まっている
2024年より毎年全国民から森林環境税1,000円を徴収する法律が既に成立してます。
使い道は経済価値が低くなった人工林を、国家予算(特別会計)で手入れしていこうという考えのようです。
人工林から伐り出される木材は余すところなく使われます。
建材とならない低質材は、チップにして土木資材や木質バイオマス発電燃料に使われます。
増税は痛いですが、社会環境改善と国土山林の資源有効利用を同時にすすめられるのは合理的だと思います。
木材を使うことが環境を守る?
近くにある木材資源を大切に使うことで、脱炭素などの環境対策の取り組みに参加できます。
遠くの国から石油で木材を運んで消費するのは、少し減らしても良いのではないでしょうか?
最大の問題は木材需要

林業事業者は少なくなりましたが、まだまだ国内には木材製材加工工場があります。
当社から近い北海道旭川市は、古くから木材工場が数多くあります。
人工林から持続的に木材が市場流通するような流通システムの構築が急がれています。
国産木材需要が改善されれば、人工林活用も計画が立つようになり丸太生産量も増えます。
伐採してから植えるところまでの林業従事者の人材投資や、それに沿った作業重機への設備投資も増えるでしょう。
結果的に人工林の更新が進み、CO2の吸収、土砂災害に強い山林ができてくると思います。
伐採の意味を考える
北海道で多く植林されるカラマツの伐採時期は40年くらいです。
人工林においてそれ以降は樹高が高くなったり、幹が太くなったりすることはほぼありません。
経済生産性の上では40年で主伐して植え直すのが合理的です。
成長期にある樹木の方が根の張る力やCO2の吸収力が大きいとされます。

木を伐採するなんて…
と、言われることもありました。
植林する人工林では伐採して植えなおす大切さにも注目して欲しいです。