脱炭素のエネルギーとして、木質バイオマスは依然として注目され続けています。
同じように木材を燃焼してエネルギーを得ることは、薪ストーブも同じといえます。
北海道ではクーラーよりもヒーターが必要な時期の方が長いです。
「暖めるエネルギー資源」をよく考えなくてはなりません。
身近な薪ストーブを利用する時の薪について紹介します。
薪の長さは?
一般的な薪の作り方は次の手順です。
- チェーンソーで玉切り
- 斧で薪割り
- 1~2年ほど乾燥
立木は長さが20~30mあります。
伐採現場から積み込みされてトラックで運ばれてくる原木丸太は2m前後です。
薪にするにはその原木を「玉切り」といってチェーンソーでブツ切りします。
薪の長さは30cmから40cm位が標準です。
大型の薪ストーブでしたらもう少し長くても問題ないですが、あまり長すぎるとストーブ内が狭くなりすぎて、空気の流れに支障がでて燃焼が円滑にいかなくなります。
長くても45cm以下で玉切りするのが良いでしょう。
含まれる水分量が少ないほど良い薪
薪は乾燥状況によって燃え方や燃焼効率が大きく変わります。
45cm以下に玉切りした丸太は水分を含んだ状態なので、人力で運ぶのも重労働なくらい重いです。
立木を切った直後の原木は、水分を多く含んでいるので、そのまま燃やすと煙が多く出たり煙突に煤が溜まったりして、あまり熱が上がらず効率が悪い燃焼になります。
丸太の状態だと乾燥はなかなかすすみません。
冬に伐採した樹木は冬眠状態で樹幹内部に水分が少なく、薪の乾燥にあまり時間がかかりません。
硬い木が薪として好まれますが…
薪原料となる木の種類はナラ、イタヤ、カシ、クヌギなど、できるだけ硬い木が火持ちが良いです。
木材資源を有効利用する観点から、硬木だけを選別して他の木は山林に捨ててくるというのも問題です。
樹種を選んで入手するのが困難なこともあります。
軟木や針葉樹でもしっかり乾燥させて使えば、立派な薪になります。
硬木ほど長時間燃焼できないものの、短時間燃焼でも良い時に使えば良いのです。
資源を無駄に残さず使いたいものです。
薪を割るときの工夫
薪割り作業は水を少し含んでいた方が作業しやすいです。
原木を入手したらすぐに薪にするのがコツです。
丸太にちょっとだけ水分がある方がスパッと割れが通りやすいです。
古い原木丸太は乾燥がすすんでいるものの、薪割り作業は大変になります。
↓2022.7.14にやってみました。
太さを考えて薪作り
薪の太さにも工夫が必要です。
火をつける時やあまり燃焼時間が必要ない時は細薪を使いたいですね。
寝る前など長時間にわたって室内を温める時は太めの薪が適しています。
薪作りから燃焼時間の薪使い分けを意識しましょう。
どのように燃焼させるか?
コレで、太さの割合を決めます。
乾燥する時にも薪棚の並べ方を工夫して、仕分けしておく必要があります。
薪を乾燥させるとき
薪割り後の乾燥に1〜2年経過すれば含水率が下がり、燃焼効率の高い薪になります。
長期にわたり屋外に放置するので、薪小屋や雨をしのぐ設備があると良いでしょう。
乾燥の時に腐らせないように
地面に直置き(じかおき)すると薪は微生物や昆虫の住処となり、乾燥する前に木部の腐朽が始まります。
この時に重要なのは地面から少しでも離すためにパレットや敷木を敷いて、地面と薪の間に空気の通り道を確保するようにします。
朽ちた木は十分な熱量を発生せず煙が多く発生してしまいます。
薪ストーブの故障や煙突トラブルの原因になります。
薪として使えなくなってしまうので注意してください。
薪の保管は雨に濡れないように
薪を乾燥させて保管するには、薪棚小屋のような屋根のついた設備が必要です。
そこまで予算がない場合はパレットなどに積み上げて置き、上部はシートで雨水がかからないようにしておきましょう。
雨除けのシートは上部分だけにして、薪全体を覆わないようにしてください。
風の通りが良くないと薪の乾燥が進みませんし、湿気が溜まってカビが発生する可能性もあります。
あくまでもシートは雨除けとして考えておきましょう。
薪作りって、大切です
同じ原木を使っても、しっかり薪作りしたものと、乾燥が中途半端な薪では、燃焼時間に大きな差が出ます。
木材燃料としての含水率は木質バイオマス工場でも話題になりました。
木材の含水率によりコストが大きく変わるそうです。
大規模に燃焼する時でも、含水率の低い方が熱発生効率が良いのです。
薪ストーブでも限られた資源を有効利用する意識が大切です。
薪の作り方や乾燥が重要なのでぜひ参考にしてください。
「たかが薪作り」と思わずに、賢い薪作りをおススメいたします。