円安は国内林業に良いのか?

国内林業には円安は追い風で復活になるのか?

円安で国内林業復活なのでは?

円安+脱炭素で

これからは林業だ!

と言う方も多くいます。

日本人は家具や住宅などに木材をたくさん使います。

さらに脱炭素で木を植えることはCO2排出権取引でも注目されてます。

カーボンニュートラルで世界的に林業が追い風です。

しかし、国内林業の復活にはなかなか難しい事情があります。

円安と円高の影響を受ける国内林業

為替の影響を受ける国内木材製品

円安になると外国産輸入木材が高額になります。

比べて国内製造品が安くなり日本産木材が売れます。

注文が増えて国内製材工場の仕事が忙しくなり、原木消費量も多くなります。

需要が増えれば価格が上がります。

木材流通が活性化されるので国内木材業界は景気が良くなります。

反対に円高になると、安い外国産木材に注文が入ります。

そのため国内製材工場への注文が減り原木の消費量も減ります。

円高は燃料代や原木仕入れコストが下がる傾向にあります。

製造原価が安くなるのはわずかな額で、それだけでは円高で安い外国産輸入材に太刀打ちできません。

国内林業には円安の方が良い

大規模な海外製材工場

国内木材業界は長年、安くて質の良い外国産木材との価格競争で負けることが多く、悩まされ続けてきました。

外国の製材工場は規模が大きく、国家レベルでの補助があったりします。

あらゆる面で合理化し生産性を重視して製造コストを抑え、安価に製造していると思われます。

その証拠として、海運コストをかけても競争力がある価格を実現しています。

為替相場の動向によって、日本国内のすぐ近くの製材工場で生産された製材品でも外国産材に価格で負けてしまうのです。

円安になれば外国産材は高くなり、国産材は安くなります。

国内林業にとっては断然、円安の方が良いといえます。

円安のデメリット

円安になると機械部品の値上がりにつながり設備投資しにくくなる

円安で喜んでばかりではなく、警戒しなければならないこともあります。

日本の林業は原油が無いと成り立ちません。

林業、木材製材工場では重機や搬出トラック、機械装置で燃料(電力)を大量に使います。

円安になると燃料代が高くなります。

円安になるとあらゆる輸入品が値上がりになります。

機械重機の値段が高くなり部品代も高額になります。

林業者は設備投資がしにくくなり生産性を高めることができず、結果的に中長期でみると製造原価が高くなります。

円高の時は

1ドル80円だった時のことを思い出してみると、国内製材工場は暇でした。

原木を販売するのに苦労したことを思い出します。

私

アカエゾマツなどは買手がつかなくて、どこで引き取ってもらえるか悩んだ記憶があります。

製紙原料やパルプ材もなかなか受注できませんでした。

不況とまではいかないものの木材物流が滞り、苦労したのをよく覚えています。

一方で外国産材を輸入している商社などは儲かっていました。

実需要も減らす円高…

円高は輸入木材が安価になり外国産材有利に

低下したとはいえ国内自動車産業は今でもかなりの規模です。

ほとんどの業種において、円高不況になると国内工場は生産縮小したり工場停止したりします。

出荷量が減ると木材物流梱包材も要らなくなります。

円高によって実需が消えてしまうのです。

さらに少ない需要は外国産材に奪われて、国内製材工場はダブルパンチです。

20年ぶり円安の今はチャンス?

約20年ぶりの円安水準で国内林業には熱い視線が向けられてます。

温暖化抑制のために植林が注目されるのはこれからも続くでしょう。

しかし、蓄積量が豊富な国内木材資源がどんどん利用されるかというとちょっと疑問です。

日本の山林地形は険しい

日本国内の山林は急坂が多い

世界全体で見ても日本は急峻な森林地帯が多いです。

国内に限って森林の地形を分析すると、北海道は幾分傾斜がゆるいです。

傾斜が15度を下回っていれば、世界と比べても木材生産地としては遜色ありません。

北欧の生産地がこれぐらいです。

しかし、30度を超えた急峻な地形では生産費用が高騰します。

木材搬出作業道の付け方が複雑になり、タイヤ系の重機では作業できません。

機動力に劣りどうしても生産効率が落ちてしまうのです。

人件費と人手不足

日本を含めた先進国では安全意識が高い。しかし、新興国はまだまだ。
まだ人件費が安い新興国

1人当たりGDPで日本は世界第24位と言われてますが、それでもまだまだ新興国より人件費が高いと言えます。

先進国の移民や新興国では未だに安全を軽視する地域もあります。

日本では人手不足のため人件費の上昇が予想されてます。

安いニッポンと言われてますが、人口減による人手不足があることを考えておかなければなりません。

造林育林にコストがかかる

日本産木材の生産には育林造林コストがかかる

人件費が高いという事は植林したり育林するコストも、海外に比べて高額になります。

地形が険しいこととも関連しますが、急峻だと作業がはかどらず植栽育林するにはなかなか出来高が進みません。

海外では傾斜がほとんど無いグラウンドのようなところに植林されたりしてます。

育林コストが低く生産性が高いのです。

日本の下刈りや枝打ち等の育林コストは海外のそれに比べて、二倍以上になることがあります。

国土が狭くて急な山坂が多い日本では不利です。

外国産材輸入が止まる事はない

生産効率が良い外国産材の輸入が止まることは無い。

自由貿易を掲げる日本政府が輸入木材を抑制することは無いでしょう。

海外の製材工場は日本と比べて生産規模が大きいです。

国営もあり大規模に生産されているため低コストで大量に製造されます。

日本国内では30人~50人位の小規模な製材工場が多く、特殊な製材品でない限り効率で劣ります。

効率、量で勝るので、汎用サイズの木材製材は今後も輸入され続けるでしょう。

為替と今後の林業

国内製材は為替による価格変動が緩やか

物価変動や供給問題がない限りホームセンターの木材価格は、ドルと円の為替相場で決まってます。

ツーバイフォーは外国産が多く、マツ製材と書かれているのは国内製材品であることが多いです。

スギやマツの国内製材品は価格変動が緩やかですが、外国産木材は為替で激しく値動きします。

国内林業にはやや円安が良い

円高が進むにつれ、多くの木材事業者が廃業倒産に追い込まれた

以前は1ドル360円で国内林業は最盛期を迎えました。

その後、長年、円高により外国産材に競争で苦しんできた背景があります。

多くの木材事業者が撤退、縮小しました。

極端な円安は別ですが、日本国内の木材業界にはやや円安の方が恩恵がありそうです。

為替ばかりでなく生産性も注視

円高が進んで継続してしまうと、価格差で輸入材に太刀打ちできないのは確かです。

為替のせいにばかりしていても林業衰退は解決されません。

道具や機械が進化しているのに従来通りの作業工程では、その能力を引き出せていないかもしれません。

試行錯誤しなければならないでしょう。

社会の資産である裏山の山林資源を利用していく為には、安全で効率良い仕事が求められています。

環境保護の仕事に

生産林として成績が良くない林地は天然林に戻すべき

確かにちょっと地方に行けば森林があり木がたくさんあります。

林業者としては皮肉にも、作業効率が悪い急峻な山林地形は景色が良いのです。

皆さんが見てる木は人工林が多く、植林後、長年放置されてきました。

見てると美しいのですが、生長が止まり細くて腐っている木も多いのが現状です。

森林機能は災害防止や水資源の涵養など、さまざまな社会的役割があります。

険しい地形の山林は天然林に戻す動きもあります。

作物のような経済面の木材生産現場から、林業は環境保全にシフトしていくでしょう。

スマート林業に期待されてる

スマート林業はもうすぐです。

もう効率よくやってるよー…。

とベテランに叱られます。

長年のベテラン林業従事者は、まじめで努力家が多く頭が下がります…。

しかし、ドローンが導入され、重機や通信、カメラ、装備は進化してます。

昔には無かった道具が登場してるのです。

まず使って、それらの性能を知り、作業の進め方や計画を考え直すべきです。

深い山林に電波が入るようになると変革が起きる気がします。

スマート林業はもうそこまで来ていて、準備をしなければならないと思います。

円高円安に右往左往していますが、林業もデジタル化しなければならないのです。

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