北海道観光は外国人に人気です。
コロナ前は一年間に255万人もの外国人が北海道観光に来ていました。
回復が遅れてますが、いつかは必ず外国人観光客が戻ってきます。
大自然の北海道が好きです。
北海道を訪れる観光客は、雄大な自然景色やおいしい食事を楽しみに来ています。
緑豊かな山林を見ているですから、少しは林業が関わっていると思いませんか?
観光と林業は一見、関係なさそうです。
でも、北海道では密接なのかもしれません。
北海道の林業観光の可能性を考えてみました。
林業は観光資源になるの?
コロナ感染拡大前に北海道のある道の駅で、オートキャンプを楽しむ香港人に出会ったことがあります。
とにかく北海道の大自然をたくさん満喫したい!
北海道観光の目的では、大自然を体験したい方々が多いです。
林業はキャンプやグランピングと相性が良いですよね。
林業現場は手つかずの山奥です。
もしも現場に連れて行くことができれば、オートキャンプ場からさらに一歩、大自然の中に深く入り込めます。
挙げればキリがない林業関連アウトドア
キャンプから連想すると、焚き火やピザ窯などは人気になりそうです。
林間アスレチックや木登り、マウンテンバイクなども今、流行っています。
観光客によっては、昆虫や植物観察をしたい方もいるでしょう。
冬なら雪を使ったカマクラやソリ滑りも人気です。
雪が降らない地から来た上海、香港、台湾の観光客は、ゲレンデ不要なクロスカントリースキーでも大満足する人が多いようです。
森林ランチは人気になる
林業従事者にとって現場で食べる昼ごはん、休憩が一日の楽しみです。
コンビニ弁当でも山林内で食べると、いつもより美味しく感じます。
森の中でランチするなら、何を食べてもおいしいはずです。
雨天日でも森の香りが強かったりします。
人間も自然の一部であることを感じられる北海道で、観光客に体験してもらいたいものです。
「環境を考えてもらう」が根本テーマ
うっそうとした森は、世界中を見渡してもそれほど多くはありません。
トレッキングや登山をしながら、景色を見たり植物や山菜を観察したりするのはすぐに人気になるでしょう。
季節によって森を楽しめます。
紅葉シーズンはすでに大人気です。
山林アクティビティを楽しんでもらうのが目的ですが、もっと大きなテーマとして「環境を考えてもらうこと」が観光と林業を合わせる理由になると思います。
森の仕事を紹介
農業体験を観光にうまく取り入れたツアーや、自分で収穫する農園は日本人にも人気ですよね。
林業体験は危険がともないます。
林業仕事には資格や安全教育が必要です。
観光ツアーで林業体験するのは難しいでしょう。
それでも体験型観光が大切なので、何か安全に林業を体験できるものがないでしょうか?
植え付けは体験できるかも?
立木を伐採したり、枝打ちしたり、刈り払い機を使った体験は実現がちょっと難しいでしょう。
資格を持たない観光客が林業機械を使うのは、事故の恐れがあり危険です。
観光客が手軽にできる林業作業は、植林でしょう。
植林してから10年後に自分が植えた木を見に行く再訪問もあり得ます。
衛星で山林内に電波がつながるようになれば、世界中どこからでも自分が植えた木の成長を、リアルタイムで見ることができます。
林業事故を知ってもらう
実際に起きた林業災害事故は、報道されることがあまりありません。
危険が伴う林業作業を一般の人に広く知ってもらうことが大切です。
- 伐倒の事故
- 刈り払い機の事故
- ハチ災害
- 重機の転落
どのような状況で起きたのかを現場で説明すると、現実が正しく深く伝わります。
林業従事者しか知らない安全講習を一般の人も理解できるように説明します。
安全対策を細かく説明することで、生産林経営や安全コストを理解してもらいたいですね。
水資源を知ってもらう
山林内には必ず沢水が流れています。
林内を流れる水の清らかさを見てもらい、水資源の涵養を考えてもらいます。
土砂災害の画像映像と見比べてもらうとよく伝わります。
森林が広域的にもたらす恩恵を体感してもらうチャンスです。
地元の海や川で獲れた魚を食べてもらって、水資源の豊かさを体感してもらうのです。
歴史を学ぶ
歴史が残っている山林があります。
古来に使われていた旧道や集落跡地、廃墟や廃屋、廃校、炭鉱跡などが残されています。
危険がないように整備してそれらを安全に見学できるようにします。
日本の人口減で起きた地方町村のリアルな現場を見てもらうのです。
歴史ツアーとして人気が出るかもしれません。
全部自然ではダメ。観光環境を整える
サービス業ではない方が観光に新規参入しようとすると、うまくいかないことも多くあります。
観光集客できなくてあきらめてしまうことも、よくあることでしょう。
観光林業で問題になりそうなことを挙げてみます。
コレが全てかも?観光トイレ問題
日本のトイレは清潔で世界からも評判がとても良いです。
山林内にはトイレがありませんから…
コレでは誰も観光に来てくれません。
観光人数を考えてトイレの設計をしなければなりません。
トイレは足りないと混雑し、多すぎると清掃や管理に苦労します。
厳しい寒さになる北海道では、通年の上下水道維持が困難です。
「林業観光の課題=トイレ」
と、言って良いぐらいですね。
看板に外国語は当然
看板は英語や中国語の表記がメインです。
日本語はサブとして小さく表示する程度でOKです。
伝わりにくい表現をせず、簡潔にわかる看板をたくさん配置することが大切です。
林道には危険な箇所が多くあります。
入ってはいけない箇所に立ち入り禁止の看板を必ず配置します。
夏に草木が伸びても、冬に積雪があっても、見えるように工夫しなければなりません。
わかっていても看板があると安心するのが観光客の心理です。
Wifiは必須
山林内でも電波が届くところはWi-Fiの設備が絶対必須です。
電波があるポイントも看板で表示しましょう。
外国人から見ると、今でも日本のWi-Fi接続環境が悪いです。
SNSにアップできない…
電波がしっかり繋がるところをアピールしたいものです。
山林観光で体験できることを簡単なガイドPDFで作る必要があります。
楽しめるポイントを簡潔に示しておけば、デジタルに強い外国人はSNSで相互に広めてくれるのです。
ナイトライフも必要
コロナ前に日本を観光する外国人の不満の一つに、ナイトライフの不十分さが指摘されていました。
一歩進んだ林業観光としては、蛍を観察したり森の中で星空を眺められるオープンバーなどもできたらいいですね。
提灯や行灯、線香花火も人気が出ると思います。
地方の夜の観光は、地域により特色を出せるのではないでしょうか。
変わる林業の役割
人手不足や所有者不明山林で、再造林が思うように進んでいない国内山林の現実があります。
木材資源を生産しつつも、脱炭素をテーマとする環境を意識される時代に入ってきてます。
持続可能な環境をととのえていくには、林業従事者の役割が大切です。
林業観光促進の本当の目的
ワイキキビーチの砂は白くて奇麗な砂を運んできて整備しています。
そんなことをしなくても北海道の自然は、すでに外国人から大人気です。
日本の森には林業現場でしか見られない素晴らしい景色があります。
安全に見てもらうためには林道整備が必要です。
多少植林すれば一年中、どれかの開花を楽しめる山林が作れるのかもしれません。
まずは林業の現場をオープンにして多くの人に見てもらうことが良いのかもしれません。
林業観光人気促進を手前側の目的とし、奥には環境を考えてもらう少し重いテーマを意識するのが良いと思います。
分けて考えたい、これからの森づくり
これまでは日本全国一律に「木材生産」を目的として山林を開発してきました。
現場を眺めていると、山深い急傾斜地で膨大なコストをかけて本当に経済林なのか?と疑うこともあります。
未来に向けて森づくりは二つに分けて考える必要がありそうです。
- 木材生産する森林
- 天然に戻して親しむ森林
国土利用の観点からも収益目的で生産する経済林はなくてはなりません。
しかし、収益性が期待できない山林があることも事実です。
コストをかけてでも天然のあるべき山林の姿に戻すべきではないでしょうか?
天然林に戻すこともお金がかかることですが、将来、林業観光で得られる収益を充てることが出来たらと思います。