「キツくてやめておいた方が良い…」と言われる林業。
コメントいただく中には
林業は、ブラック…
と、いう方もいます。
確かに林業を取り巻く経営環境は厳しいものがあります。
その負担を現場に押し付ける会社も存在します。
時代は人手不足で高性能機械化、デジタル化です。
人々の生活や思考も変わりました。
林業だけが古くからのやり方でうまくまわる訳がありません。
不適切にもほどがある!
林業経営も社会変化に対応しているのか?が問われてます。
人によっては待遇の受け止め方も違うでしょう。
私の経験上ですが、思いつくところで林業会社の待遇をチェックしてみました。
【そんなモン?】ちょっと心配な会社
ご紹介するのはナマの現場の話です。
よく耳にする林業会社の心配な傾向を紹介します。
ブラックと言われるほど重大問題ではないですが、少し気になる慣習ですよね。
私のまわりにもいるような気が…
お祭り好きな社長
林業会社がある山間部では、古くから集落や地域のお祭りやイベントを重視します。
それは今も変わらないと思います。
社長が異常なお祭り好きやイベント好きには注意です。
冠婚葬祭にも社員をかりだす会社もあり、田舎独特の風習慣習はチェックが必要です。
たしかに地域とのつながりは大切です。
ただ、仕事そっちのけでお祭りに集中してしまうのは、経営的にどうかと思います…。
仕事はあとだ…!地域のお祭り最優先!
雨は休日←古いかも?
屋外仕事なので雨天は作業効率が落ちます。
しかし、高性能機械化が進んだ今の林業は、雨天でも作業可能だったりもします。
建設機械がベースマシンなのでキャビンがありワイパーなどが装備され、ずぶ濡れになるわけではありません。
ただし、泥地や排水性が悪い現場は、確かに雨天時に作業しない方が良いこともあります。
雨は絶対に休み…
天気予報の精度が上がり、作業計画を適時見直すこともできます。
「雨ならとにかく休日!」という頭のカタい社長には注意です。
雨で休んだんだから土日は無し!
ちょっとヤバい会社ですね。
HPは無くて電話FAX
林業は人手不足です。
多くの会社は人材募集しているでしょう。
なのに、ホームページすら無い会社を見かけます。
本気で人材募集しようとしていないのでは?と思います。
スマホ時代に会社をPRしないと、応募者に気付いてすらもらえません。
相手のことを考えていません。
メールやSNSが苦手な社長も多く、連絡は今も電話やFAXが主流です。
通信手段のイノベーションについていけず、電話の効率悪さに気づいていません。
林業会社にHPなんて要らん…
書類ぎらい
書類関係を敬遠し、とにかく口約束が多い会社には注意です。
就業規則や契約書を見たことがないのは、のちの水掛け論となりトラブルの元です。
会社だから、やってくれてると思うんですけど…
「やってくれてると思います…」ではなく、自分で退職金や社会保険、年金を会社に確認しましょう。
入社してからや、退職時に気づいたのでは遅すぎます…。
口約束ばかりの会社は、出納や税務、検定書類など、役所に提出する書類も正しく提出しているのかが疑われます。
【えっ?マジか…】待遇が悪い
林業会社は待遇が悪いと言われます。
異業種からの転職者がその違いに気づくでしょう。
気になることを挙げてみました。
チェーンソーは自分で用意するもの?
えっ…チェーンソーは自分で用意するの?
林業会社なのにチェーンソーが用意されていなかったりして、従業員の持ち込みに頼っているなら問題です。
ただし、古くから伐木仕事は職人が多いです。
会社で用意するチェーンソーよりも、「自分が使い慣れたもので作業したい!」という人もいます。
なので、個人所有の道具を使う人が今も確かにいるそうです。
しかしながら、従業員に強制で持ち込みさせたり、手袋や安全靴など装備品まで「社員が自腹で用意しろ」というのは、待遇がおかしいと思いませんか?
休めない、福利厚生が一切ない
休みは少なく稼働を上げ、社員経費をおさえたい…
林業だから「休みが取りにくい」「有給がない」というのはおかしいですよね。
早くから有給休暇を申し出ても却下されるような会社は、現場マネジメントができていません。
天候や季節で複雑に変化する現場条件に対応できないのと同じです。
たまにでも、社長と社員が一緒に食事をしないのもどうかと思います。
社員旅行や忘年会で飲食を共にすると、ふとしたきっかけに仕事の改善点や危険防止の話題になったりします。
せっかくの現場のアイデアを聞き逃しています。
チームで作業する林業で意思疎通は大切です。
福利厚生の有意義な場を失っているのです。
年間事業計画がない
現場の年間計画はオレのアタマの中にある!
どんな会社でも年間事業計画がないのはおかしいと思いませんか?
林業も計画がないと、次の現場の下調べや、段取り、作業員の準備に遅れがでます。
それにより無駄なコストが発生したり、従事者は振り回されます。
次の現場がわかっていれば事前に準備できたこともあったりしますよね…?
ザックリでも年間の事業予定をたててない会社は、「行き当たりばったり」で、現場作業員にしわ寄せが来たりします。
【転職もアリ】経営悪化?
これからの項目にあてはまれば、会社の経営がうまくいっていない可能性が有ります。
せっかく林業現場で努力しているなら、経営がうまく回っている会社にいた方が良いに決まっています。
転職も考えてみてください。
資金繰りに不安がある
- 「給料振込が遅れる」
- 「給与明細がなくて現金手渡し」
- 「取引先が支払いのことで怒ってた」
これでは会計や出納が正しく行われているかが疑わしいです。
林業は古くから手形取引が主流でしたが、現在は現金になってきました。
ただ、証拠が残る振込等でない現金手渡しは、税務申告を疑われる時代になってきてます。
そもそも数字に弱くて、材積や数量を適切に計算できない経営者も問題です。
現場に精通しているが、数字が苦手な社長も意外といます。
林業には重量係数や材積、単価、出来高など意外と数字が多いです。
これらを把握していないと資金繰りや経営は改善しません。
設備投資しない、できない…
新品重機なんて買えない。修理も最小限で費用をおさえる!
「設備投資をしようとしない」「できない」のは問題です。
毎日使う機械重機の設備を整備してないのは、事故やトラブルの元になります。
点検もメンテナンスもしないで、壊れた機械のまま使っていたら要注意です。
結局、いつかは故障して現場が止まります。
費用がかさんできて修理代どころではない損失がでます。
メンテナンスの大切さが理解できていないのか?お金がないのか?いずれにしても大きな問題です。
設備投資し過ぎも問題
外国のスゴイ重機を導入すればうまくいく!
重機機械を大好きな社長が、過剰に機械設備投資するのも問題です。
外国製の輸入林業機械は、軽く1億円を超えます。
日本の地形に適しているか?稼働率は?をよく考えずに導入してしまうと、大きな固定負債になり経営が悪化します。
社長が現場の声にしっかり耳を傾けているか?よくチェックしてください。
税制や金利、補助金に興味ない
とにかく辛抱!
異常に古い重機は、整備にかなりのお金がかかります。
社長が新しい補助金や税制、減価償却のしくみを理解しているか聞いてみましょう。
人口減少対策として独自の補助を用意する自治体も多くあります。
法律改正や補助金、税制に興味がないのは、経営者として問題です。
優遇金利や雇用の補助など様々な支援策があるのに、気づかなかったり調べて利用しようとしないのは経営者としてどうでしょうか?
社外の人に経営を任せてしまう…
全部、税理士に任せてます…
「税理士、会計士にすべてを任せてるから…」というのも深刻です。
会計や税務ならともかく、仕事の受発注や契約単価まで任せてしまう社長は、もはや経営者ではありません。
林業の実務に詳しい会計士などなら別ですが、あまり多くはいないと思います。
言いなり社長…
やらなくてもいい仕事が増えた…
森林組合や発注者の言いなりになっている社長もどうかと思います。
発注者なので当然、できる限り彼らの意向に沿わなければなりません。
でも、何でも受け入れてしまうと現場に負担がかかります。
経営者は出来る事と不可能な事を早く見極めて発注者と交渉するものです。
これではいくら現場が頑張っても経営好転はないでしょう。
【即退職を!】被災する危険…
下記に該当するなら、すぐに退職を考えた方が良いと思います。
理由は林業事故(重大災害)を引き起こした会社にみられた傾向の一部です。
自分の身を守るにはすぐに決断して行動するしかありません!
スピード狂は安全軽視
忙しいんだ!
自動車の運転でスピードを出しすぎたり危険運転や交通違反をする人は、同じことを林業現場でもやります。
道路交通法無視で安全基準など守る気が無いということは、それだけ現場が危険です。
安全教育ができない、しない、または知らない、のです。
「こうやってきて無事故だから大丈夫!」と成功体験にすがり続けているだけです。
そんなのは、たまたま運が良いだけでしょう。
コストアップを避けるために、危険と認知してても危険作業をさせているのも論外です。
現場に管理者がいない
社長や現場責任者が現場にいなかったり、来ない日があったりするのは危険です。
危険の兆候があっても権限者がいないと、防止する指導指示がでないことになります。
「午後から行くから…」と、言ってた現場責任者が約束を守らないこともあります。
作業の進捗状況を気にしないのは管理できていない証拠です。
経営が改善することがないでしょう。
作業員同士が何となく林業仕事をしていると「危険で収益性が悪い現場」ということです。
仲が悪い、いつも機嫌が悪い
現場が怠けてるんじゃないのか?
林業は1チーム3~4人です。
作業員同士の仲が悪いのも注意です。
チームワークが安全と効率を左右させます。
原因はトップ権限を持つ経営者にあることが多いです。
社長自体がいつも不機嫌で、怒っていることもあります。
これでは安全のために議論しなければならないことも躊躇してしまいます。
まもなく事故発生間近で、とても危険です。
ホワイト林業会社だってあります
いろいろ申しましたが、弊社も林業会社です。
「こんな会社になりたくないな…」と気をつけることを並べてみました。
ありがたいことにYouTubeやTwitter(X)で同業者からコメントをいただきます。
その内容によると零細企業が多い林業にはブラック企業がたくさんあるようです。
低収益の負担を引き受けてるのは現場従事者…
一次産業は労働集約型から抜け出せず、収益が上がりにくい産業です。
林業は他の産業に比べて収益性が高くありません。
儲からない林業では無理して利益を出そうと、現場に圧力がかかります。
さらに生産される木材はコモディティなので、需要や価格が景気変動を早く強く受けます。
それらの影響を最終的に引き受ける事になるのは林業従事者です。
現場に押し付けると、結果的に危険が増大することは間違いありません。
家族経営にもご注意を
事業体が親子や親族だけということも多いです。
チームワークが良いのですが「なあ、なあ」になりがちで、改善を受け入れにくい体質になります。
家族経営ならワンマン経営者が長く鎮座していることが多いでしょう。
古くからのやり方を続けるのは、良い事と悪い事が混在してきます。
社会が変化しているわけですから、現場にも変化が必要です。
権限者が誰か?組織は法令順守してるか?など、家族経営は細かくチェックする必要がありそうです。
現場をオープンにしていく事で
経営者は林業の実情や危険なことを隠しておきたいものです。
私はインターネットの力でオープンにすることを勧めてます。
世の中には待遇が良かったり、給料が良い仕事ばかりではありません。
- 良く見えて実はブラック
- 悪く見えて実はホワイト
いずれにしても働いてみないとわからないものです。
林業だからブラック会社とは限りません!
特に林業は現場が見えないので、働いてみないと未経験の人には色々とわからないと思います。
職歴がデスクワークばかりでしたが、林業に転職したらとても楽しい。
若者が集まる林業会社もあります。
大手商社系の会社も存在します。
すべての林業会社がブラック企業という訳でないことをお伝えしておきます。
林業は古くから日本で長く続く専門職業です。
すぐには会得できない安全技術は世界中の林業に通用するでしょう。
簡単に職を失うことはないのです。
自分に合った良い会社に巡り会うことで、林業に対する考え方が大きく変わると思います。