再造林したくない…←なぜ?

7割の人が伐採後に植林しないのはなぜか?
林地地主
林地地主

伐採したら、もう植えなくていいや…

人工林は、間伐を重ねて40~50年もの長い期間を運営してきて、最後は主伐します。

全部伐採したら植林して再造林するのが普通です。

しかし、近年の林野庁データを見ると、主伐後3~4割程度しか植林していないのです。

8.7万ha主伐して3万haしか再造林されていません。(2018年、民有林面積は推定値)

環境時代になんでこんなことになるのでしょうか?

それじゃ、再造林禁止にしてみよう!

無茶苦茶な考えで怒られそうです…。

この「トンでも発想…」の理由は後ほど述べてます。

それにしても、多くの林地所有者が再造林しないのは、国土利用と環境の観点で国家的地球的損失です。

なんで再植林しないの?

どうして伐採後に植栽しないのか?

全部伐採後にどうして植林しないのか?

参考になる調査結果があります。

  • 予測される利益で造林費用を払えない
  • 林業に関心がない
  • 相続する後継者がいない
  • 補助金が少ない

悲しいことに森林所有当事者である私も、これらの意見に賛同してしまいます…。

時代は主伐フェーズなのに

そろそろ全部伐って植え直すべき山林が多い。

戦後の木材需要の高まりをうけて植林が盛んにされました。

時は流れて、植林木が生長しました。

もう遅いくらいですが、それらの立木が収穫時期に達しています。

一方、現状の丸太需要は十分にあり、売れなくて困るということはありません。

主伐の面積が増えつつある中で再造林の問題を対策しないと、将来、無立木地が増えていく恐れがあります。

森づくりは水資源や土砂災害防止にも関連しますので、懸念されてます。

補助金は7割もらえますが…

1haを再造林する時にかかる費用の内訳
合計で約180万円にもなる。

ザックリですが、林野庁資料によるこの標準モデルによると、再造林したくない理由が見えてきます。

1haの立木を主伐して販売した時の収入は100万円とします。

植えてから3年後くらいまでの育林を含めた再造林初期費用は約180万円です。

7割の再造林補助金がでたとして、自己負担は54万円です。

間伐費や林道補修費を無視したとして、54万円が50年後に100万円になります。

利回り1.5%の投資になります…。

リスク多めで中途解約不可の50年投資

立木投資には様々なリスクもある
強風で倒れることも…

米国債や株式なら4%の時代です。

再造林立木投資は、なかなか決断できません。

さらに再造林長期投資を踏みとどまらせる要因がいくつかあります。

  • 林地売買は取引数が少なく、途中売却しにくい。
  • シカ柵設置や災害補修等の想定外費用
  • 枯損、病虫害、風倒、盗伐、誤伐、獣食害、林道被災などのリスク
  • 50年間は現金収入がほぼない

そもそも、再造林初期費用54万円の現金を捻出できない人、事情もあります。

相続で、もめたくないから分けやすい現金に…

土砂崩れで他人に迷惑をかけたら損害賠償も…

そろそろ老後資金がいるのに54万円は出せないなぁ…

再造林の相談を受け、私たちも返答に困ることがあります…。

減る育林従事者と省力化研究

肉体労働でキツイ植林育林に人員が集まらない

再造林されない原因は供給側にもあります。

今、激減中ともいえる造林育林作業員は、やりたくても仕事を受注できない環境にあります。

公的機関で多くの研究を重ねてきましたが、機械化ロボット化が進まない限り、解決できないような気がします…。

育林従事者と伐木従事者が逆転

伐採する伐木従事者は2万人程度と10年以上横ばいです。

30年前に6万人いた育林従事者は、2万人を割り込みました。

現在は1.9万人なので、伐るより植える人の方が少なくなってしまいました。

高性能機械化が進む伐木に比べて、依然として肉体労働の育林は人気がなく、高齢化をモロに受けます。

造林育林作業の機械化、省力化が急務です。

国有林では近年、伐木に植林育林を義務付ける動きもあります。

コンテナ苗や低密度植林

コンテナ苗で機械化も研究されてる

植える樹種の選定や密度、間隔などは、長年にわたって研究投資されています。

日本の気候風土に合った育林研究は暴露試験が必要で、膨大な時間がかかります。

先人たちは仮説に可能性をみて試験研究を重ねてきました。

30~40年経過した対象もあり、そろそろ研究結果をまとめる時期でもあります。

イノベーションは起きなかったものの、蓄積されたデータを活かす時が来ています。

コンテナ苗で育苗や機械化に寄与することがわかり、低密度植林や樹種改良も研究成果として公開されてます。

人工林禁止にする?

地形の傾斜は林業で最も大きい条件の一つ

公表されてる統計は、全国合わせてのものが多いです。

地域性が読みとれないデータでは粗くて投資戦略にうまく使えません。

植林でも伐木でも着目すべきは地形です。

まさに林業の地域性が問われてきます。

伐木、植林、育林は研究されてる

一般の方から見たら、林業事業者への偏見もあるかもしれません。

高齢者たちが集まって非効率なやり方で林業してるんじゃ?

最新機械も導入できず生産性が低いんでしょ…

低賃金で忙しく研究どころではないのでは?

このように思われがちです。

しかし、林業は古くから公的機関がデータを収集し分析してます。

機械化効率、仕事の進め方や未来予測も知識の蓄積があります。

広く実践されてるか?はともかく、効率化した林業作業の教科書があるのは確かです。

急傾斜地は無理なのでは?

急傾斜地の素材生産はやめるべき?
技術はすごいけど…

作業方法に多くの知見があるのに、なぜ、林業生産性で大きな効果が得られないのでしょうか?

投資不足や人手不足も確かにあります。

それより問題なのは、地形だと思います。

急傾斜では、伐るのも植えるのも育てるのも、効率が大きく落ちます。

いくら機械化デジタル化しても、地形が変化することはありません。

ここは生産林再造林を禁止し、天然林に戻す!

そのくらいのことをしてもいいのではないでしょうか?

木材を生産する人工林から天然林に戻すことも、しばらくは人の手が必要です。

急傾斜地は素材生産をやめて、水源涵養や土砂災害に強い森林づくりに専念すべきです。

稼げる生産林が高価値に

緩傾斜地を素材生産林地の絶対条件に

人口増加から減少に転じた日本のように、林地も狭くしてサイズを小さくするのはどうでしょうか?

政治的な決断が必要で、多くの反対がありそうです。

山間部町村を崩壊させるつもりか!

と、お叱りを受けそうです…。

でも、限界集落になりかけてる自治体にだって、将来の林業にチャンスがあるかもしれません。

廃校のグランドに植林してみては?

例えば離農地や廃校した学校のグラウンドに植林するのはどうでしょうか?

平地面積が少ない日本では、戦後の住宅需要で山間部も開発されてきました。

全国には人口減で限界集落になることが予測されてる街も多くあります。

先人たちは住みやすく条件が良い地形から住宅地として、開発をすすめてきました。

人住まなくなった平地を、小面積からでも林地として研究投資してみてはどうでしょう?

少ない平地面積の林業は?

おらがムラには平地面積がそんなにない…

わずかな平地面積しかない農村は素材生産をあきらめて天然林を磨くべきです。

そんな農村は大体、絶景です。

観光資源に恵まれていることに気づいていません。

しばらくは荒れた人工林を天然林に戻す仕事になるでしょう。

そして、将来は古民家ホテルや山奥観光をイメージして、手つかずの自然を体験してもらう農村観光を目指すべきです。

戦略的な林地モデルを

  • 収益が低すぎる?
  • 費用がかかり過ぎる?

いずれにしても儲からない林業は衰退します。

ビジネスの基本は安く作って高く売ることに尽きます。

面積が小さくても成功体験にはヒントが生まれてきます。

1haからでも市街地林業をやってみるのは、若者人材育成の面でも価値がありそうです。

再造林できる林地は高価値に

効率良く素材生産できる林地は高価値にならなければ…
高価値になるべき素材生産適林地

市街地に近い生産林はアクセスが良いので、搬出管理しやすくなります。

騒音の心配がありますが、一般の人に見えにくかった林業が身近になります。

人工林禁止のエリアが広がることで、国産木材を再生産できる林地の価値が上がります。

CO2吸収の現場を身近に見てもらうきっかけにもなります。

再造林禁止により、林業適地での再造林が逆に増進する可能性がありそうな気がしませんか?

緩い傾斜に限定し持主も境界も明確にした林地が、高値で土地取引されることを期待したいです。

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